ただ風に乗るだけで、心が整っていく
仕事に全力で向き合った1週間の終わり。
目も肩も重たくて、「どこか、誰もいない場所に行きたいな」と思った朝。
そんな時、私はバイクのキーを手に取ります。
都会の喧騒を抜けて、風の中に身を預けていると、
呼吸も、思考も、自然とリズムを取り戻してくれる。
エンジンの音、グローブ越しに感じる振動、
目の前に広がる景色が変わっていくのを見ていると、
気づかないうちに、心の中のざわめきが静まっていく。
ツーリングは、わたしにとっての“走るマインドフルネス”です。
ツーリングと自然でととのう、週末の過ごし方
■ 「目的地より、道中がごほうび」って思えたら
ツーリングの醍醐味は、どこかに“たどり着く”ことじゃなくて、
その道のりの中で五感がひらかれていくこと。
ヘルメット越しに感じる風の匂い、
肌をなでる空気の冷たさ、
アクセルを緩めて下るカーブの先にふいに見える山の輪郭。
そんな瞬間瞬間に、
「今ここにいるな」と思えることが、
整う時間につながっている気がします。
■ わたしのリトリート・ツーリングルート
▽ 朝、都内を出発して
首都高から中央道へ。
山梨・道志方面や奥多摩の道を走るのが好きで、
目的地をあえて決めず、気持ちにまかせて寄り道するのがルール。
森の中で見つけたカフェや、
だれもいない河原でヘルメットを脱いで深呼吸。
“静けさを味わう旅”みたいな時間が、そこにはあります。
▽ 気づけば、バイクの音が心の整音になってた
走ってる間、ずっと無言。
でも、心の中ではいろんなものが動いていて、片付いていって。
「今週あったあのこと、そんなに気にしなくてよかったかも」
「もう少し、力を抜いても大丈夫かも」
バイクって、ただの乗り物じゃなくて、
わたし自身の整え方だったんだなと、最近は自然にそう思えます。
乗り換えるという選択肢も、ポジティブに
しばらく乗っていると、ライフスタイルの変化や体の感覚で、
「そろそろ別のタイプにしてもいいかも」と思うこともあります。
それって、「手放す」じゃなくて、
“次の自分に合った一台を選び直す”ということ。
たとえば、もっと軽くて街乗りしやすいモデルだったり、
積載に強くてキャンプ向けのアドベンチャータイプだったり。
バイクは、私にとって単なる移動手段ではなくて、
“今のわたし”を映す鏡のような存在なのかもしれません。
走ることは、わたしを取り戻すこと
ツーリングの途中で飲むコーヒーや、
森の中で交わす無言の対話は、
スマホや会話のない世界だからこそ生まれる静けさ。
バイクに乗る時間って、結局
「わたしに戻る時間」なんだと思います。
次の週末もまた、私は走り出す。
“どこか整う場所”を探してじゃなくて、
“わたし自身と再会するために”。